俳句の作り方     墓参の俳句

 わが影に母入れてゆく墓参り    遠藤若狭男えんどうわかさお

わがかげに ははいれてゆく はかまいり

 

 

 墓参はかまゐりが秋の季語。

「盂蘭盆うらぼんに祖先の墓に参って香花を手向ける事。

墓参りは季節を問わないものであるが、盆の行事であることから秋の季語となっている。

ちなみに今年の立秋は8月7日金曜日。」

 (俳句歳時記 秋 角川書店編)

 わが影に母入れてゆく墓参り

 

 

 わが影に母入れてゆく墓参り

 

 

 句意を申し上げます。

墓参りの際の私の影は、亡き母を背に負うような影であることよ。

 

 

 鑑賞してみましょう。

墓地へ向かう道を歩きながら、私はふと振り返って自分の影を見つめました。

8月の光は強く影はくっきりと地面に伸びていました。

その輪郭の中で母の姿がそっと寄り添っているように思えました。

まだ言葉にならない気持ちが胸の奥で揺れていました。

 墓前に立つと母の気配が影の中で一層濃くなります。

生前の声やしぐさが、光と影の境目から静かに立ち上がりました。

私はただ黙ってその気配を受け止めるしかなかったのです。

影に母を入れるという行為が私の慰めになっていたのです。

 手を合わせると影の中の母がゆっくり私に重なりました。

別れの痛みよりも、ようやく母に寄り添えたやすらぎが勝っていました。

墓参りの時間が、私の影と母をそっと結びなおしてくれたのです。

帰り道、影は少しだけ軽くなっていました。

 わが影に母入れてゆく墓参り

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